☆実践算命学・基礎レッスン③-35
十大主星を五本能に分けて、気質の中心にある主星を中心に見て行きましょう。有名人を使って並べてみる事で、ニュアンスを捉えて下さい。
今回は牽牛星からです。
牽牛星は、攻撃の本能の「陰」になります。車騎星の「陽」の攻撃本能が単独の闘いに対して、「陰」の攻撃は集団の闘いの形になります。集団で戦うと言う形は、組織や団体で、という複数の人間の間になるために、これを仕事で考えると、車騎星が一匹狼的に独立自営業や自分で会社を経営するような形に対して、牽牛星の方は、役人やいわゆるサラリーマンの世界になる訳です。
世の中の仕事を考えてみると、何らかの形で組織に属して働き報酬を得ると考えれば、サラリーマンゾーンが一番多い事になりますが、単独や少ない人数で働く形と、団体組織の中での働きの違いは、集団には規則やルールがあり、その中でそれぞれの役割を果たすという、分担がハッキリしているのです。
そのために独立業や少ない人数で働く場合には、経営はもちろん営業も、経理もと言うように、一人でマルチにいろいろな働きをしなければならないのに対して、組織に属して働くと言う事は、ある種の組織のコマになるし、より専門化して行くという違いがあります。
さらに、それを制約で考えれば、独立業はそれだけ独力な分、すべての責任も負う変わりに収益も自由になるという事になるでしょうし、組織人ならば、企業の経営状態はどうであっても、一定の報酬のワク内になるし、その分立場も含めて保障されているという違いもある訳です。
そう言うふうに対比させて考えて行くと、それぞれ、向き不向きの気質の違いが出て来るように、ワンマンで枠にとらわれたくない気質の方が車騎星の行動になるのに対して、牽牛星の方は、一定の規則の中でルールを守って、安定を望むような気質の違いがありますね?
これを、スポーツで考えると、剣道や柔道などや、陸上選手のような、一人で行う競技は車騎星の世界で、サッカーや野球のような団体競技の方が牽牛星の世界になって来るし、法曹界で考えてみると、いわゆる体制側に入る裁判官や検事の世界が牽牛星になり、独立している弁護士の世界が車騎星になるのです。
そのために、牽牛星を活かすには、“名詞に肩書き”と言って、資格や免許が必要になる世界や、学歴や大会社の名前を連ねるような、それだけ自分の立場を保障するようなものが多ければ多いほど、自分のプライドが満たされて行くという気質を持ちます。
それだけに、「寅の衣を借る狐」的に、その衣をはがされると、非常に弱いという事もありますから、最近の例で言うと、“どこかの”最高責任者として、その会社では君臨しているようでいても、国民から一斉攻撃を受けると、入院してしまうという形は、牽牛星の弱さもよく表している訳です。
しかし、本来の牽牛星の気質は、順法精神があり、与えられた責務は果たすという気真面目さや、責任感があるために、夫にするには一番安定する事から、正夫と言って、正式な配偶者の星でもあります。
主星に牽牛星を持っている方を探してみると
石原慎太郎元都知事
こちらは、東方の表に見せる気質が車騎星になっているので、言動が過激だったり、かなり闘争的な面を見せていますが、主星が牽牛星になっています。東京都という“大組織”の長として、こちらはその駒になるというよりも、駒を使いこなして戦おうと言う意識になっている訳です。集団の闘いですね。
☆ちょっと高度な解釈コーナー
十二大従星としては、天馳星天報星天極星の最大身弱ですから、一見、あれだけの強気は
正反対のようですが、この場合には、日干干合する事で天将星が出て来ます。そのために、虚の天将星ではあっても、組織の長としての強さも発揮している事になります。
オスカー・シンドラーさん
シンドラーのリストで有名な、「第二次世界大戦中、ナチスにより強制収容所に収容されていたユダヤ人のうち、自身の工場で雇用していた1,200人を虐殺から救った」方です。
映画で描かれていたように、彼は元々は、快楽主義者のプレイボーイで、工場経営によって得たお金を湯水のように使っていた遊び人だったので、ナチ政権に対して主義主張によって抵抗したという流れではなかったのですが、だんだん持っていた正義感が芽生えて、ユダヤ人救済のために、全財産や命まで投げ打とうとしたと言う人でした。
こういう牽牛星的な気質と全く違う、大きな“振り幅”を経験する事によって、自分の本質に目覚めると言うのは、反対に大きなスケールとなって現れるんでしょうね。
とかく、「悟る」と言うのは、正反対の事をやってみて目覚めるのが本物のようです。
田原総一郎さん
こちらも意外な感じがしますが、彼の主星も牽牛星です。時代背景もあり、戦時中は軍国少年だったそうですし、車騎星のイメージが強いのですが、この場合には牽牛星の正義感が強く出ているんでしょうね。
天南星が2つもありますから、生涯現役型になりますが、強引な所がありながらも、侃々諤々、喧々囂々の議論をまとめる彼のような人がいないと、おもしろくありませんよね。「朝ナマ」は、彼がいてこそと言えます。しかし最近はさすがに高齢になり、往年のキレが疑問視されているようですが。
☆ちょっと高度な解釈コーナー
牽牛星が2つあると、陰と陰によって、陽の車騎星の面も加わりますから、天南星の支えによって、牽牛星が車騎星的な要素になって強く出ている感じです。当然、自分の“売り”だけではなくて、十分政治力があっての事ですから、東方の石門星も稼働している訳です。
今回の人選は、あまり牽牛星的な質ではない方でしたが、もう少し、役人的だったり、親方日の丸意識の強い業種や、気質の方を改めてどこかで取り上げる事にしましょう。